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[ 2014年01月14日 - 01:48 ]

【細貝萌インタビュー】

■ 2011年1月、浦和レッズからドイツ・ブンデスリーガに渡って3年。昨夏にヘルタ・ベルリンへ移籍したMF細貝萌はシーズン前半戦のリーグ全17試合にボランチとして先発出場し、8勝4分6敗で6位と好位置にいるチームで存在感を見せている。ドイツメディアで「ヘルタの中盤に欠かせない選手」と評されている細貝が、ヘルタのこと、日本代表のことを語った。

―充実のシーズン前半だったのでは?
「数多くの試合に出ることができていて、レバークーゼンで経験したこと以上のことを経験できた前半戦だったと思います」

―前半戦は17試合すべてに先発し、チームも6位と好調ですね。
「ヘルタ・ベルリンはここ数年うまくいかないシーズンが続いていました。2部から上がって1年で落ち、また上がってまた1年で落ち、また上がってきたというのが今シーズン。開幕当初のチームの目標は1部残留で、それは今も変わりません。ただ、レバークーゼンやアウクスブルクでの経験を踏まえたうえで、開幕前にヘルタで新しくチームメイトになった選手たちを見たときに、僕は『このチームはもっと上に行ける』と思っていました。ドイツの取材でもそう話していました」

―現在の6位という順位をどう感じていますか?
「6敗の中には、内容でずっと押しているのに勝てなかったなど、もったいない敗戦もあったし、もったいない失点もありました。だから、僕個人としては全然満足していません」

―もったいないところに自分が関与していたということ?
「失点したシーンを見ると、ボランチの選手は何かしら関わっているんですよ。センターバックももちろんそうだと思うんですけど、例えばクサビが入って、その選手が落として裏にボールが出て3人目のプレーのような形で1対1になったりする。そうなったときに、クサビの位置やパスコースにボランチの選手がいたら、クサビへのパスが通っていないわけじゃないですか」

―直接じゃなくても数プレー前で関わっている。
「テレビで見たりするだけなら、最終的にマークについている選手の部分だけに目がいきがちなんですが、よく考えてみたら自分がクサビのところに入れさせていなかったら、その選手は他のところを選択するんですよ。もちろん、サイドに行ってクロスからやられるかもしれないので結果論ではあるのですが、やはりサイドより真ん中の方が危険ですし、ここにもし自分がいたら失点を防げたのかなと思うことがある」

―細かいところを考えるようになった?
「今までは、例えば自分が1対1で抜かれて失点したら、この対応は悪かったなと思う。でも、それは当たり前です。自分が関与していないようで関与しているシーンが、ボランチの選手にはある。もっと自分が感覚的なところを研ぎ澄ませていればやられなかったんじゃないかと。失点シーンを見て考えることが今までよりも増えました」

―なぜ増えたのでしょう。
「昨シーズン、プレーしたレバークーゼンでは、ボランチでは出ていませんでした。試合に多く出ていた前半戦のポジションは左サイドバックでしたから。でも、逆にボランチとしてのブランクがあったからこそ、ヘルタでボランチをやって思うことが増えたのだと思います」

―サイドバックで出ていたことや、試合に出なかった時期が生きている?
「そうですね。それくらいレバークーゼンの時期をポジティブにとらえています。今、気になるのは得点シーンよりも失点シーンです。得点シーンに絡んでいればもちろんいいですし、点を取るなら取ったほうが良いのは当たり前なんですが、それより失点シーンを見たとき、『これは俺が少しサボっているな』とか『ここに俺がいることが可能な距離なら跳ね返せていたかな』とか、今まで以上に考えるようになりました」

―ドイツメディアでは『ヘルタの中盤に欠かせない選手』と評されました。
「うれしいですね。評価してもらえるのはうれしいですし、しかもブンデスリーガ内で評価されているというのがうれしいです。僕はブンデスリーガーだから、そこで評価されるのがうれしいし、ヘルタ・ベルリンの選手だから、ヘルタ・ベルリンのサポーターに評価してもらえるのはうれしいですね」

―サポーターの評価も感じている?
「この半年を終えて、ヘルタ・ベルリンのサポーターが評価してくれているのは自分でも感じることができています。試合後に挨拶に行ったときに自分のユニフォームを着てくれている人がいたり、『お前、良かったぞ』と声をかけてくれる人がいる。そうすると、『俺はここの選手なんだな』と思いますし、だからこそもっと頑張らないといけないと思います」

―ブンデスリーガの日本人選手が所属しているチームの中で、前半戦6位は最高順位です。日本人選手とそういう話題になることはありますか?
「順位が一番いいという話にはなりませんが、お互いのチームの状況は話します。オカちゃん(岡崎慎司)と電話で話したのですが、シュツットガルトのときとは状況が違って充実感があるし、やりやすいと言っています。そういうのを聞くと僕も頑張らないといけないと刺激になります」

―来年のCLも見える順位だが?
「今の順位でいけばそうですが、でもやっぱり取りこぼしているし、無駄な失点もある。今はポイント差もそんなにないですから、後半戦が始まって結果が出なければ、一気に下に落ちてしまう。けれども、勝ち点を積み重ねればもっと上にもいける。これからだと思っています」

―私生活ではベルリンの歴史も勉強中?
「せっかくベルリンという都市に住んでいるのだから、やっぱり把握しておきたいですよね。でも、すごく難しいんですよ。ベルリンの壁の崩壊もインターネットで検索して読んでみたりしたのですが……。ただ、こういう歴史があったんだなと気にするようにはなっていますね」

―ホームは2006年W杯の決勝会場でもあるオリンピック・スタジアム。
「8万人くらい入る大きなスタジアムです。だから7万人くらい来ても、完全には埋まっていないんですよ。シャルケやバイエルンでは、スタジアムが満員になりますよね。僕としては満員にならないのが悔しいんですよ。シャルケ戦では7万人入りましたが、満員ではなかった。僕ら選手たちが結果を残すことで、見に行こうと思う人がいるでしょうから、毎試合8万人に来てもらって満員のスタジアムでやれるように頑張らないといけないと思っています」

―生活は問題ない?
「今まで住んだ都市の中で一番大きいですし、一番住みやすいです。とにかく困ることがない。住んでいる場所が市の中心から少し離れているので静かだし、時間に追われている感じがない。生活しやすい環境にあります」

―ところで、中田英寿さんのバランスの良さを参考にしたいとブログに書いていましたが?
「プレースタイルはまったく違いますが、僕自身、中田ヒデさんがすごく好きなんです。何が凄いって、フィジカルは当然だけど、体のバランスを崩さずに前に運んでいく強さがあるじゃないですか。自分も前に運んで行こうとは思わないけど、ああいうフィジカルの強さのところ、バランスのところで、ヒデさんのプレーを見て感じることが多いです」

―中田選手より激しい感じですが?
「はっきり言ってチームでもファウルが多いですからね(笑)。ブンデスでもファウルが多い方。でも、ポジティブな意味でファウルをしにいっているのがありますからね。センターバックの選手や周りの選手に負担がかからないように自分のところでつぶしていくのは重要だと思っています」


 ドイツ・ブンデスリーガのヘルタ・ベルリンでボランチのレギュラーの座を勝ち取り、確かな地位をつかみつつあるMF細貝萌。2010年9月から継続的に招集を受けている日本代表についてどのように考えているのだろうか。

―W杯の組み合わせが決まり、日本はグループリーグでコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと対戦する。まず、コートジボワールの印象は?
「コートジボワールは完全にアフリカ系の選手。僕らアジア人とはまったく違いますね。身体能力の部分やパワー、スタイルが違う。足の長さ、筋肉量が違う。シンプルな縦に速いサッカーをしてくると思います」

―ブンデスで普段から黒人選手と対峙することもあるが?
「黒人選手と普段からやっていることは、感覚的に生かされる部分が大きいと思いますね。適応能力が付いてきているとは感じています。コートジボワールには世界でもトップレベルの選手たちがいます。僕もそのピッチに立っていたいなという気持ちが強いですね」

―ギリシャは?
「正直に言って、今のところあまり映像を見たことがないです。コートジボワールやコロンビアに比べると、テレビでギリシャの試合をやっているから見ようかなと思ったことは今までなかった。ですが、ヘルタで話していると、ある選手は『フィジカル的にすぐれているよ』と話していましたね。つまり、フィジカルを活かしたサッカーをしてくるのかな、という程度の知識。身近に想像できるチームではなかったです」

―コロンビアは?
「ベルギー戦の映像を見ました。個の能力が高いですね。実はヘルタにいるFWアドリアン・ラモスはコロンビア人。ドルトムントのレワンドフスキと11得点で並び、ブンデスの得点ランキング首位にいる選手なんですが、最近は代表に呼ばれていないんですよ。以前は呼ばれていましたから、この調子だとW杯でも代表入りするのではと思いますが、つまり、彼くらいの能力の選手たちが何人もいるということですね。それくらい能力の高いチームだと思います」

―日本はこのグループを勝ち抜けるでしょうか。
「僕は、どこの国が相手でも日本の選手なら間違いなくチャンスもつくれるし点も取れると思っています。厳しいグループであるのは間違いないですが、ブンデスでやっている感覚として、僕は日本ならやれると思っています」

―細貝選手の代表への道のりは?
「1月25日のフランクフルト戦からブンデスリーガの後半戦が始まります。ヘルタでしっかりプレーすることで、自分がW杯の地に立っているか、立っていないのかが分かれてくるのかなと思います。自分次第。絶対に選ばれるとはまったく思っていないです」

―代表に対するスタンスをどう考えていますか?
「代表に選ばれたいというのが先にあってサッカーをやっている訳ではありません。チームでしっかり結果を残しているから代表に呼ばれるという順番だと思っています。『僕はヘルタの選手だ。だからヘルタで全力でやっている』というのが先で、そうすることで自然と代表に呼ばれると思っています。実際、そうしていなければ代表に招集してもらえないわけですし」

―ヘルタに移籍した直後の昨年8月、「チームに集中したい」と代表に申し入れたことがありましたが、そのときのことを話していただけますか。
「自分で考え、代理人を通じてそのようなことを伝えました。ヘルタに移籍したばかりにも関わらずコンフェデレーションズ杯に出たことで合流が遅れていて、まだチームとの連係が取れていないと感じていました。練習試合も1試合しかやれていない、そんな状況で開幕を迎えるタイミングでしたので、できればチームに集中したい。そう言いました」

―結果的にそう伝えたことが良い方向に行ったのではないでしょうか。
「自分にとってはそれがすごくプラスだったと思っています。実はブンデスの開幕数日前、ルフカイ監督から『代表戦があるんだよな』と言われたので『僕としては今はチームを優先したいという旨を代表に伝えた』と監督に言いました。すると、開幕戦の前日まで僕はスタメン組で練習をしていなかったのですが、試合当日に僕のところだけスタメンが変わっていたんです。後日、ルフカイ監督から聞いたのは、『もし代表に行くなら、コンディションなどを考えて、多分開幕戦では使わなかっただろう』ということでした」

―そうして出た開幕戦でフランクフルトに6-1の大勝利を収めました。
「開幕戦でヘルタのサポ―ターの前でプレーできて、チームとしても良かったし、個人的にもうまく入り込むことができました。自分が(代表に)そう伝えたことで出られたのであれば、自分にとってはすごくプラスだったと思います」

―ある意味、リスク覚悟での申し出だったと思います。
「監督としては、呼びたい選手に『今回はチームに専念させてください』と言われれば気持ち良くないのが普通だと思います。国を代表して戦うチームに呼ぼうとしているのに、しかも翌年にW杯があるのに。でも、そう思われても仕方ない状況だったし、そう言ったことでその先、呼ばれなくなるのであれば、自分の実力がないということですから」

―言う言わないで迷いはなかった?
「どうしようかと最初は思いましたが、自分としては当然そのほうがいいと思いました。迷いはしたけど、仮に自分がこれからもし代表に呼んでもらえるとして、代表で良いプレーをするためにも、そうすることがベストだと思いました」

―良い方向へ前進している手応えがある。
「そうですね。今は一歩一歩、進んでいっていると思っています。ヘルタでは自分のプレーが生きるし、自分が周りからも生かされている。すごく自分にとって良い環境ができていると思います」

―目指すのはどのようなところですか?
「ボランチというポジション、つまりチームの真ん中でプレーしているのですから、やはり、チームの中心としてプレーしたい。ピッチの真ん中にいるからには、チームを引っ張っていく選手になりたいという気持ちが強いです。それはヘルタでも代表でも変わりません」

―昨年11月の欧州遠征では山口螢選手が2試合連続で先発出場した。率直にどう感じましたか?
「彼とは、対戦したことも同じチームでやったこともないですが、彼のストロングポイントは代表で練習をしたり、試合を見たりして自分自身も感じています。彼には彼の良さがあるので、彼から学ぶことも多い。彼は短期間に2試合先発で出ましたが、それは彼の実力で奪ったものだと思っています」

―自分については?
「僕は今まで代表に選ばれてから2年くらいの間で、短期間に2試合スタメンで出たことがありませんが、それは何かが足りないからだと思っています。自分では調子がすごく良く、今回は間違いなくスタメンで使ってもらえるなと思ったときでも使ってもらえなかったことがあった。それはやっぱり実力がなかったからだと思っています」

―それは12年秋ごろのことですか?
「そうですね。コンディションもすごく良かったし、代表合宿の練習でもしっかりできていた。でもザックさんに使ってもらえなかったのには理由がある。それは自分の能力が足りなかったからなんだなと思います」

―山口選手はライバル? あるいは、山口選手だけではない?
「当然、みんながライバルですよ。彼がライバルであるとか、長谷部(誠)さんがライバルであるとか、ヤットさん(遠藤保仁)がライバルであるとかは思っていないです。もちろんスタメンで出るにはポジションの数は限られていますが、彼に負けたくないとか、長谷部さんに負けたくないとか、そういうのではない。それは自分の中でクリアになっています」

―自分の良さを出していくことが大事?
「そうです。ただ、自分の良さを出すのは結構難しいと感じてもいます。ヘルタでのプレーを代表で出せるかというと、チームのスタイルも違うし、戦術も違うので難しい。代表ではザックさんの言うことをしっかりとプレーで表していきながら、チームが良くなっていくようにしないといけないのですが、それが今の自分の一番大きな課題です」

―ザッケローニ監督から与えられている個人的な課題は?
「ポジショニングのことはよく言われています。どちらかというとヘルタの方が守備に関してもシンプルで、ザックさんの方がポジションで細かい」

―2014年の抱負は?
「しっかりとヘルタで結果を残していきたいです。まずは1月25日のフランクフルト戦に向けてしっかりやっていきたい。これからは1試合1試合大事になってきます。チームで勝ち点をしっかり取っていくことが自分の評価にもつながっていくと思うので、引き続き、良いイメージでチームの中心選手としてプレーしていきたいと思っています」

―W杯での目標は?
「呼ばれたとしたら、一戦一戦が大事になる。そこに立っていたいですし、チームとして上に行ければいい。すごく楽しみです」

(取材・文 矢内由美子)



スレッド作成者: ゲキサカ (9zxK/EYFWtQ)

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コートジボワールは完全にアフリカ系の選手。 (01/14 - 12:19) なんかアホっぽいな。
(01/14 - 09:43) 長いけど読んだ。代表の戦術が変わらないとスタメンは難しそうだけどクラブではさらに活躍しそう
(01/14 - 08:00) 長い!読みたくない!でも頑張れ!!
(01/14 - 07:14) 読んでないけど頑張れ
(01/14 - 01:53) ながいw