■ 日本で紫のチームと赤いチームの因縁があるが、奇しくも「持っていかれる側」が成績上回り2連覇しており半ば笑い話（？）
一方中国では「持っていかれる側」の青島中能が毎年主力を広州恒大に引抜かれ続け、ついに1997年から残留していたトップリーグから降格。
契約無効を訴え、協会巻き込んだ裁判沙汰になった。

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青島は93年プロリーグ創立以来のメンバーで、2002年にカップ戦優勝。96年に一度降格し、常に降格候補だったが前述の通り1部を維持。その残留力、オレンジのユニフォーム、張外龍との縁からごく一部では「中国版大宮」と言われる。貧乏な地方クラブながら曲波（日韓W杯出場）らを輩出。

2011年-エースだった姜寧を恒大に引き抜かれるが、張外龍監督の元、鄭龍、劉健ら中心に過去最高の6位に。鄭龍はアシスト王、劉健は代表に定着

2013年-開幕3連勝で一時首位に経つ等躍進、しかし夏に鄭龍に恒大から札束攻勢。金だけでなく、政府スポーツ局の介入もあり放出。鄭龍を失った青島は後半戦急落しついに降格。
恒大はアジア制覇、リーグ3連覇も、鄭龍は恒大加入後数試合プレーして負傷離脱し半年以上復帰できず。
姜寧も定位置確保できず退団。

2014年1月-生え抜きキャプテンの劉健が恒大と合意。2013年で契約満了のため移籍金無し。
堪忍袋の緒が切れた？、青島は2015年まで有効とする本人サインの契約書を公開し、協会に恒大を訴えた。
3ヶ月に渡り係争した結果、4月上旬に青島の提示した契約書は偽造との判決で劉健は正式に恒大の一員になった。
本来なら二重の契約を偽造した青島に処分が下されるべきだが、現在まだ処分は無し。むしろ恒大が劉健移籍の賠償に移籍金を支払い、青島の若手選手を獲得するとの噂がある。

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この劉健に関わる係争で浮き彫りになったのは

�@「陰陽契約」
中国ではフリー移籍制度が100％でなく、文字通りクラブが選手を不当に拘束する例が多い。クラブは選手を金ずるか奴隷としか見ていない。青島の二重契約書偽造は稚拙な手段だが氷山の一角だ。
ドログバ、アネルカの例見て分かるように、中国のビジネスは多くの面が不成熟。
青島や昨年FIFAに給与未払い訴えたバリオス（敗訴し恒大に賠償）のような「確信犯」でも「やってみればわからない」混乱状態にある。
30歳の劉健は脂が乗った時期に3ヶ月プレーできず、代表からも外れた。CB,MFこなす現役代表を起用できれば恒大の序盤戦はもっと違っただろう。選手の貴重なキャリアが犠牲になる。

本田、長友の活躍を見て多くの中国人は、同世代の陳涛を思い出す。2005年ワールドユースで3得点し、トゥーロン国際大会ではブラジルから決勝点上げ準優勝。
2006年アンデルレヒト移籍濃厚だったが、所属の沈陽金徳が放出を拒否。その翌年にはジェノア移籍がまとまりかけたが、今度は1年近く試合を干され、コンディションを大いに低下させた。今は大連で控えに甘んじ、サイドバック転向が噂される。

�A「格差」
恒大、北京、山東など富裕強豪と下位クラブの格差は広がっている。下位クラブは戦力不足に苦しむ中、北京や山東は何億円もかけて獲得した代表選手や外国人選手がベンチに。
山東のリザーブマッチには元シャルケの蒿俊閔、現役代表選手の杜威、楊旭ら�@軍でも優勝狙えるメンバーが出ている。
日本や韓国のように引き抜かれても後継を育成するほどの、人的資源も金も無い。それ以上にフロントに忍耐がない。

�B「裏」
鄭龍の移籍では、政府の介入があったと言われる。今回の騒動でも偽の契約書を提示したからには、「裏」の指示が想像される。仮にも長年在籍するプロクラブが、負けると分かっている揉め事を起こすとは思えない。