■ あらためて三浦知良は偉大！後はJ1昇格、さらには50歳での現役プレーにも期待したい！

最近、サッカーJ2が例年以上に盛り上がっている。C大阪や大宮が久々に戦うことになり、J1経験チームが11チームになったことで、巷では戦国J2といわれているのが大きな理由だろう。またJ3から昇格したばかりのツェーゲン金沢が最近5連勝したことも注目に値する。だがそうした中で最近日本サッカー界のキングと呼ばれてきた三浦知良が久々に大きな注目を浴びるようになった。

発端となったのは、プロ野球で通算3000本安打の大記録を残した張本勲氏の引退奨励発言だ。J2の6節磐田とのホーム戦での先制点により、Jでのゴール最高年齢記録をさらに更新したのだが、翌週に放送されたＴＢＳ系報道番組「サンデーモーニング」において、張本氏が「若い選手に席を譲らないと。だからもうお辞めなさい」と発言。これが特にサッカーファンからの痛烈な反感を買い、久々にカズが騒がれた格好だ。だが、カズは「もっと活躍しろと言われてるんだな、と思いました」と爽やかに受け取り、あらためてポジティブでカッコイイと思った。もちろんカズへの同情票はさらに高まった。カズ自身張本氏に憧れていたから肯定的な発言となったが、今時こんな対応ができる人物なんてなかなかいない。

また最近の横浜FCの戦い方もなかなか理に叶い、2012年以降久々に大人のような老獪なサッカーができつつあるなあと感心した。先日スカパーで見たが、過去4連敗中の長崎戦での戦い方はとても印象深かった。前半12分に右サイドからのFKに長身FW大久保哲哉がヘッドで競り勝ち、落としたボールにカズがうまいタイミングでヘッドで合わせて先制。その時のカズのゴールはまさに最近コメントしていた「もう若い選手と走力で張り合っても分が悪いが、一瞬のポジショニングや思考の速さを活かせば大丈夫」を体現するような巧さが感じられた。さらにチームとしては、15分あたりから本来サイドハーフだった小池純輝を左サイドバックかウイングバックみたいな位置に配置。これはDFのパクテホンと左の中島崇典の間のスペースの部分が弱く、中島が中をケアする必要があり、その分空いたサイドを確実に抑えるための一時的な策といわれていたが、私にいわせれば、最近好調の長崎のサイドアタック、特に最近売り出し中である右の岸田翔平の突破を封じて攻撃力を半減させるための立派な策だと思った。実際、前半は長崎得意のサイドアタックがイマイチ見られず、まさに横浜FCが長崎をハメたと思ったものだ。後半はさすがに不慣れゆえの疲れ、カズ交代による選手交代の際のエアポケットなどで一時逆転されたが、大卒新人DF楠元秀真の豪快なヘッドで再び追いつき、辛うじて勝ち点1をゲット、長崎戦連敗を阻止。長崎も後半は選手交代などで立て直したが、それでも横浜FCの即席5バックシステムは、疲れを別にすれば予想以上に機能していたと思う。カズにしても役割を十分にこなしていた。

こうなると横浜FCは今年こそ最低でもプレーオフのための6位以内が期待されるが、今後はカズの体調、そして近年の監督が悩まされてきた起用法がカギとなる。特にカズに対する扱いといえば、昨年まで3年間指揮をとってきた山口素弘前監督の退陣の際のコメントが気になる。山口氏は就任中、カズを特別扱いしないことでチームをうまくまとめてきたが、昨年そのカズはコンディション問題もあってか、たった2試合、時間にして4分程度しかプレーしていない。それでいて、フロントはカズによる集客にこだわり、少なからず現場介入していたという報道も見られた。そして終盤POの望みがなくなった時点で山口氏は横浜FCと喧嘩別れする形になった。その際のコメントがこれだ。
「現場としてはとにかく即戦力FWが必要だった。だが理解してもらえず、どうしてもベンチの枠も限られるという事情があってやりにくさはあった。」
ざっとこんな旨だが、山口氏は相当やり繰りに苦しみ、力を出し切れないまま無念の終戦となってしまった。

今年から就任したミロシュ・ルス監督は当初特別扱いなどはしないはずだったが、開幕してみるとカズを先発でほとんどずっと起用。だがコンディションがよく、8節時点で2得点でもつなぎや連携、守備など問題なくこなせるのなら先発で起用されるのは妥当なこと。今後過密日程や夏の暑さで体調管理が心配されるが、昨年の山口氏の無念ぶりを思うと、カズには山口氏の分まで頑張ってもらいたい。そして何よりもう一度J1に上がってほしいとも思う。正直今年は千葉と磐田が飛び抜けて強く、東京Vや大宮も守備が安定、金沢の例も含め戦力下位チームの巻き返しも予想されるなど、自動昇格はもとより、6位以内もまた難しいだろうが、今年久々に騒がれているのだからそろそろ目に見える結果を出すのが望ましい。さらにいえば、海外でも元イングランド代表スタンリー・マシューズくらいしか例がないといわれる、プロサッカー選手としての50歳での現役プレーもあと2年で到達できるので、そこまでは頑張ってほしい。とにかく体調管理がカギになりそうだね。