■ なでしこ連覇ならず！そして日本では女子サッカーは文化にならない！AKB48の方が文化といえる！

ついに今年の女子サッカーW杯が終わった。なでしこジャパンはアメリカとの決勝戦を2-5と予想以上の完敗。中でもアメリカのMFカーリ・ロイドは豪快な先制ゴールをはじめハットトリック！しかも5失点は佐々木則夫監督就任以降の公式戦ではありえなかったはず。それだけ今回のアメリカ女子は強すぎたわけだ。

もともと今大会のなでしこジャパンは準決勝までは全て先制して、後の時間はなりふり構わず逃げ切るという消極的な戦いが目立っていた。トーナメントではオーストラリアが予想以上に動きが悪かったものの、あとの3試合はおおよそ主導権とは無縁の戦いを強いられていた。それでも決勝まで進出できたのは、やはり組み合わせ・日程・移動距離など、他の強豪国より恵まれすぎ、なおかつ有利判定が多かったからだろう。もうなでしこジャパン得意の小細工は、欧州やアメリカあたりには今後は通用しないはず。

さて、そうした中で日本の司令塔で主将の宮間あやはこんなことを言っていた。
「女子サッカーをブームではなく文化にしたい」と・・・。

日本における女子サッカーは、2011年にW杯優勝、さらに2012年ロンドン五輪でも準優勝と、内容はどうあれ十分すぎる結果を残してきたわりに、集客や注目度のアップは長続きしなかった。
実際、代表選手が多く最強クラスのINAC神戸でさえも上位対決ですら満足に集客できていないのだから。

世代交代がうまくいかないのも、新鮮味がなく、世間の注目が冷める原因だ。佐々木則夫監督は徐々に若手にチャンスを与えたものの、なかなかお眼鏡にかなう選手は台頭せず。同時に川澄奈穂美は昨年のINAC神戸が負けたある試合で「戦える選手と戦えない選手がはっきりしている」と吐き捨てたことがあったが、これはクラブだけでなく代表でも指摘している。確かにこの世界は自分で這い上がるべきだが、それでも川澄以後の世代に対しては厳しい叱責・批判はタブーで、一気に自信をなくした選手もいるはず。そういう意味では、2011年の優遇された上での優勝に囚われ過ぎではなかろうか・・・。

こうした状況下で宮間主将がどんなに声を上げたとしても、今後女子サッカーが日本で根付き、文化になるとは思えない。例えばアメリカと比べて、女子サッカー人口はアメリカ200万、日本は4.8万と、ゆうに40倍以上差がある。もちろん人口の数の違いはあるが、比率としてはアメリカの方が上だ。また、日本人選手が過去にアメリカのチームにいた時には家と車を無償で与えられていたことがあり、渡米前にプロ契約してなかったとチームメイトに話すとビックリされたという。いくらアメリカが最強だとしても、ここまで環境が違うとわかれば、日本でしかプレーしてない選手はある種諦めのような気持ちすら芽生えるだろう。

そしてなでしこジャパンの近年のあり方、戦い方も大きく尾を引きそうだ。元来なでしこジャパンは華やかなパスワークで相手をかわし、ゴールを狙うと認識され、少年少女たちは一時は強く憧れたはず。だが、今回W杯では相手にたっぷり研究されたこともあるだろうが、J2下位チームよりもお粗末な、受身で耐えまくり、少ないチャンスで放り込み、あわよくばPKで逃げ切ればという戦いが目立った。その上で宮間主将は「理想や主導権は捨てて、汚くともとにかく勝ち続け、優勝したい！」と豪語。これでは4年前の優勝で憧れを持った少年少女たちにとっては矛盾を感じ、ガッカリしたことだろう。さらには若手も思ったほど伸びず、結局今回23人中前回優勝メンバーは17人ということで、これもアメリカやドイツとは大違いだ。

また今大会のなでしこジャパンはとりまく環境はかなり恵まれているのに、プレーは4年前より重苦しく、選手もかなりピリピリしているように感じられた。とても前回王者の貫禄なんて見られなかった。日本の女子サッカーは容姿に問題がある選手が多く、その上で変にギスギスしていたら、これからサッカーを始めてみようかと検討している少女たちはドン引きしてしまう。しかも華やかな戦い方をイメージしていたのに、泥臭く、いざとなったら判定で贔屓されるとなれば、競技そのものの魅力を見いだせなくなる。あるいは勘違いする選手も出てくる。また、日本国内でも女子サッカーの待遇など見直すべきという声が聞こえるようになったが、日本サッカー協会の長年の体質を考えたら当面は無理だ。こういった流れでは女子サッカーはまた一時のブームで風化するのがオチ。

せめて次のW杯の時までに、川澄奈穂美のようなスピード、熊谷紗希のように170cm以上あって、ある程度のキック力を誇る、澤穂希や宮間あやくらいのキック精度や目利き、といった一芸を持つ選手が出現すれば、ベスト8くらいでもマニアの興味はつなげるだろうが、今後そのくらいのレベルの人材が出現するとは思えない。これも文化には至らない理由の一つだ。こんなないものねだりは正直見苦しい。むしろAKB48に憧れる少女の方が明らかに多いはず。AKB48は人気メンバーが卒業しても、新しく別の個性を持つメンバーが台頭し、ファンもそうした下克上を楽しむ傾向があるので、世代交代しても人気は簡単に低下しそうもない。そういう意味ではAKB48の方がよほど日本の文化といえるね。