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[ 2015年08月06日 - 22:07 ]

【ハンカチ王子はこのまま終わるのか】

■ ハンカチ王子はこのまま“終焉”を迎えるのか

これがラストチャンスという気構えでいてほしい。日本ハム・斎藤佑樹投手に対して切にそう思う。中継ぎへの配置転換を経て再び先発として一軍に呼び戻され、8日の楽天戦(札幌ドーム)のマウンドに立つことが濃厚となったからだ。

 この「8・8」は奇しくも斎藤の母校・早稲田実業が甲子園球場で行われる全国高校野球選手権大会の1回戦に臨む日。“スーパー1年生”として大きな話題を集めている清宮幸太郎内野手を擁する早実(西東京)の初陣と同校OB・斎藤の登板日が重なったことで、メディアの中にはこの日を「早実デー」と銘打つなどして注目する向きもある。しかしまだ高校1年生で今後の飛躍に期待がかかる清宮に対し、一方の斎藤はもう後がない。だからこそ冒頭の言葉しか頭に浮かんでこないのである。

 斎藤は今季でプロ5年目。ルーキーイヤーの2011年に6勝(防御率2.69)をマークしたのがマックスで12年は5勝(同3.98)、13年は0勝(同13.50)、14年は1勝(同4.85)、そして今季はここまで0勝(同9.00)と特に近年はまったく戦力になっていない。9年前の全国高校野球選手権大会決勝戦で早実のエースとして駒大苫小牧・田中将大(現ヤンキース)との投げ合いを制し「ハンカチ王子」のネーミングを授けられて国民的な人気者になったのも、今の若い人たちには余りピンと来ないような古い話になりつつある。

 筆者は当コラムで昨年12月に「“ハンカチ王子”斎藤佑樹の人気はなぜ凋落したのか」という記事を書いた。この記事の中でも触れたが、まだ現段階でも斎藤に対して断崖絶壁の立ち位置から「何かをやってくれる」ことを密かに期待し続けてはいる。しかし今、彼が置かれている立場は断崖絶壁から落ちかかって片腕一本で崖に手をかけているような状況だ。もう正直言って猶予はない。現場を預かる栗山英樹監督も、それはよく分かっているはずだ。

●“スイッチ”が入ることを期待している

 結果を残せていない斎藤が今回一軍に昇格して先発起用されるのは、先発の駒不足と過密日程が重なったチーム事情も絡んでいる。だが必ずしも、そこだけが理由ではない。栗山監督、そして日本ハムのフロント上層部はこのタイミングで一軍再昇格を果たす斎藤にイチかバチかで“スイッチ”が入ることを期待しているのだ。それは指揮官が、この8月に斎藤を一軍昇格させることについて報道陣から質問を受けた時に「そう、彼の季節だね」と答えたコメントにも実は非常に深く関係している。

 彼の季節――。これは言うまでもなく、先にも記したように9年前に斎藤が全国高校野球選手権大会を制した「夏」の意味を指す。つまり栗山監督ら現場スタッフ、そして日本ハムのフロント上層部は母校も甲子園出場で戦う今夏8月のタイミングだからこそ斎藤が覚醒するか否かの“最後の賭け”に出ようとしているのだろう。

 後輩たちの熱き戦いを見れば、きっと心の奥底にあった当時の記憶は蘇ってくる。9年前、自分は誰よりも間違いなく光っていた。現在ヤンキースのローテーション投手にまで上り詰めた田中に当時、自分はしっかりと投げ勝ったのだと――。

 かつての栄光の時代がハッキリと思い起こされれば、ここ数年、ずっと失われていた自信を取り戻し、今までにないマウンドでの姿を見せてくれるかもしれない。斎藤の一軍昇格を決めた栗山監督も、そういう思いでいるはずだ。

●そろそろ結論を出さなければいけない

 とはいえ、逆のケースも十分にありえる。次回登板でも満足のいくような結果を出せず「やっぱり斎藤はダメだったか」となれば、これはもう限りなくジ・エンドに近い形になるであろう。だが、それも「もはや機は熟し切った」として仕方がないことなのかもしれない。それというのもつい最近、日本ハムの関係者と話をしていて次のように妙なことを耳にしたからである。

 「斎藤も、そしてわれわれも互いに誤魔化し続けるのではなく、もうそろそろ結論を出さなければいけない時期に来ていると思うのです」

 これは一体どういう意味なのか。「?」を頭の中にいくつも浮かべながら何も突っ込めずにいた筆者に、この関係者は真剣な表情でこう続けた。

 「斎藤は本当に頭のいい選手。だから自分が置かれている立場は当然、理解しているし危機感を覚えている。それでも、ここまでずっと心が折れないで選手生活を続けて来られたのは持ち前の超プラス思考を忘れずにいたから。周りからひんしゅくを買う可能性があっても、それを顧みず報道陣に対して口でずっとポジティブなことを言い続けていたのは、自分を奮い立たせていたからですよ。

 ただ、そうは言っても彼だってさすがに限界はある。本当は結果が出なくて悩んでいたのに、過度なまでに周囲が期待するから苦悩する姿を見せられない。そういうところでわれわれも斎藤の本心を見抜けていなかった部分があったのかも……。

 いつか必ず真価を発揮してくれるはずと彼を戦力外にせずに過剰な期待をし続けていたから、知らず知らずのうちにわれわれと彼との間に距離感ができてしまっていた感がある」

●ラストチャンスを与えた

 高校時代の大ブレイクによって等身大以上に持ち上げられてしまった斎藤。努力によって早稲田大学時代も主将兼エースとして実績を残したもののプロの世界ではアマチュアでスターとして担がれてしまったぶん、そのギャップが高い壁となって目の前に現れ、現在もそれを打破できずにいる。その苦しみを理解した栗山監督は今、これ以上ないタイミングによって一軍昇格を決めることで斎藤に対し“ここで結果を出し、何とか壁をぶち壊してみろ”とラストチャンスを与えているのである。

 指揮官の熱き思いに応えて9年前の原点に立ち返ることができるのか。あるいはマウンドで単に苦悩する自分をさらけ出し、そのままズルズルと終焉(しゅうえん)へ向かってしまうことになるのか。世のビジネスパーソンたちも追い詰められ、とにかくやらなければならないシチュエーションに立たされることはあると思う。そういう意味でも斎藤の次回登板にはぜひとも注目してほしい。



スレッド作成者: やきうライター (6odkLuuMmRY)

このトピックへのコメント:
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(08/07 - 07:18) 張本勲著『斎藤佑樹 脳内力』
等身大以上に持ち上げられてしまった (08/06 - 23:05) これが全てだろうな。ストレートの速さ、変化球のキレは高校時代が一番良くて、大学→プロと進むにつれ劣化してる。大学止まりの投手を知名度があるというだけでプロに引き上げてしまった関係者は猛省すべきだな。僅か3勝の投手をオールスター戦に出すとか所詮はレジャースポーツと言われるのも分かる
(08/06 - 22:41) てか、誰?
(08/06 - 22:16) がんばれ長友
(08/06 - 22:10) がんばれ長友
(08/06 - 22:08) がんばれ長友