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[ 2015年11月24日 - 15:52 ]

【「プレミア12」はイギリスのサッカー!?】


初開催「プレミア12」に関心なかった米国
今後へ最高峰MLB選手の参加は不可欠

プレミア12はイギリスのサッカー!?

「プレミア? イギリスのサッカーだろう?」

 筆者が「世界野球プレミア12」について意見を求めると、あるニューヨークの現地記者からそんな素っ頓狂な答えが返ってきた。最初は凡庸なアメリカンジョークかと思ったが、本気だった様子。“アジアで行われたベースボールの新たな世界大会”と説明を加えると、「ああ、その大会のことは聞いたことがある。ほとんど興味はなかったけど」という答えだった。この記者は極端に思えるかもしれない。しかし、普段はMLBを取材している4〜5人の記者に意見を求めても、ほぼ例外なく上記の後半部分と似たような反応だった。

「行われているのは知っていたが、興味はほとんどなかった」

「イベントの存在を聞いてはいた。ただ、特に注意は払わなかった」

 1年を通じて国内スポーツが盛んなアメリカでは、MLB終了と同時に息つく間もなくNFL、NBA、大学スポーツに主流が移っていく。そんな状況下で、プレミア12の報道はほぼ皆無。『MLB TV』ですらもテレビ中継は行わず、『MLB.com』『CBSスポーツ』などが申し訳程度に結果を伝えたのが目立つくらいだった。あとは今オフ中のメジャーの移籍が予想される前田健太のピッチング内容が簡単に伝えられたくらいか。

国際大会に熱狂的ではないお国柄

 もともと国際大会にはそこまで熱狂的ではないお国柄であり、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも否定論は依然として多い。それでもWBCはアメリカ国内開催とあって、少なくとも議論が成り立つだけの知名度、注目度はあった。しかし、プレミア12に関しては、かなり熱心なベースボールファンでもその存在自体を知らないものが大半だろう。理由はご想像通り、シンプルに、メジャーリーガーが参加しなかったからである。

「MLBは11月に行われるプレミア12トーナメントにおいて、40人ロースターに含まれない選手の出場を認めることで合意した」

 8月31日にMLB広報部の公式アカウントからそんなツイートが送られてきた。この時点で、アメリカのメディア、ファンが興味を持つ可能性は事実上消滅。メジャーリーガー不参加の背景にあった要因ははっきりとは語られていない。

収益問題や開催時期のリスク

 WBCを最高峰の世界大会としてまずは確立させたいMLBの思惑は大きかったのだろう。また、MLB主催のイベントだったWBCとは異なり、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が陣頭指揮をとるプレミア12の収益はメジャーのチームに流れてこないという事情もある。

 選手側から見ても、プレミア12の開幕はプレーオフ不出場チームの最終戦から1カ月以上も後であり、準備は簡単ではない。WBCでは1000〜2000万ドルがかかったという保険の問題も不透明なまま。何より、近年は選手の健康維持が注目されている中で、この時期に、しかも不慣れな極東の地で、エキシビションではなく真剣勝負を行うのはリスクが大きく感じられる。これらのすべてが考慮された上で、準備の困難な第1回の不参加を決めたのであれば理解できるところではある。

愛国心の強い選手は大会に好意的

もっとも、将来的なことを考えれば、MLB、選手側の姿勢が変わる可能性がないとは思わない。もともと一部のメジャーリーガー、特に愛国心の強い中南米の選手は、アジアの各国同様に国際大会に実は好意的だ。アメリカ人の中にも、国を背負ってプレーすることを名誉と感じる選手がいないわけではない。 

「MLBと選手会が自分たちが利益を得る大会(WBC)だけの参加を奨励し、他のイベントへの出場をブロックしてしまうのは見栄えが悪い」

 参加、不参加が決定していなかった1月の時点で、「FOXスポーツ」のジョン・ポール・モロシ記者はそう述べていた。WBC優先というポリシーは変わらずとも、実際にMLBもそこまで閉鎖的ではないはずだ。

ドリームチームは無理でも若手なら!?

 諸事情を考えれば、アメリカがドリームチームを送り込むことはまず有りえそうもない。ただ、出場すれば選手側になんらかのメリットがあると考えられる環境が整いさえすれば、選手はプレーを望み、MLBも徐々に協力的になることは十分考えられる。

 例えば“メジャー2〜3年目までの選手たちの出場は可”といったルールを付け加えれば、その時には、少しでも実戦経験を積みたいプロスペクト、商品価値をアピールしたい若手には魅力的な場になる。

 今季の夏場以降にメジャーに上がったコリー・シーガー(ドジャース)、マイケル・コンフォート(メッツ)のようなスーパースター候補が出れば、所属チームのファンは確実に興味を持つだろう。母国のウィンターリーグでプレーを続けるラテン系の若手選手に関しては、もう言わずもがなである。

“選手が出たい”舞台にするために

 昨今は投手の負担減少が声高に叫ばれていることもあり、ベースボールの国際大会には開催時期の難しさが常に付きまとう。アメリカのメジャーリーガーにとって、11月開催はやはり理想的からはほど遠い。ただ、選手はほぼ確実に調整不足、チーム側も開幕へのチーム作りに懸命な3月よりは、11月の方がベターではないか。シーズン終了後から本戦までのブランクの問題も、事前に承知していれば春先より準備は容易だろう。

“MLB以外がプレミアのブランドを確立していけば良い”。そんな開き直った声も聞いたことがあるが、この大会が“チャンピオンシップ”“世界大会”と銘打たれているのであれば、最高峰のリーグであるMLBの選手が参加した方が良いに決まっている。著名選手の出場が増えれば、大会の格も上がり、さらに多くのスターがプレーを望むようになる。

 まずは大会自体が、“選手が出たい”と感じるだけの体裁を整える必要がある。現在の無関心度を考えれば、WBCよりもさらに時間はかかるはず。しかし、国際試合には、やはりわかりやすい面白さがあるだけに、将来的に好循環が生まれても不思議はない。カギを握るメジャー選手登場に向けて、長い目で、プレミア12の舞台が魅力的に研ぎ澄まされていくことを期待したいところである。



スレッド作成者: やきうライター (Mj.0N0os.DE)

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