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[ 2017年01月30日 - 18:52 ]

【「スカパー!」の悲劇 「ダ・ゾーン」が超強気な理由】

■ 衛星放送の大手・スカパー! の公式サイトに、高田真治代表取締役による前代未聞の「お詫び文」が掲載されたのは、昨年12月15日だった。

「スカパー! での放送を楽しみにしてくださっていた皆様に、このようなご報告をせざるを得ないこと、また今日までご連絡が遅くなりましたことを、深くお詫び申し上げます。誠に申しわけございません」

こう綴られた文中で、同社はJリーグの試合中継から「完全撤退」することを発表したのだ。

スカパーは'07年に、Jリーグの全試合放送を開始。「サッカー中継といえばスカパー」というイメージを着々と築いてきた。

その撤退に、多くのサッカーファンから驚きと悲鳴が上がった。事の発端は昨年。

Jリーグは半年にわたる放映権交渉の結果、'17年シーズン以降のJリーグの独占放映権(無料テレビ放送を除く)をスカパーではなく、インターネットスポーツ中継サービス「ダ・ゾーン」を展開するイギリスのスポーツコンテンツ企業、パフォーム・グループと契約すると発表したのだ。

何より耳目を集めたのが、その「破格」の契約額だった。最終的にパフォームがJリーグ側と結んだ契約額は10年分で約2100億円。

それまで例年スカパーが支払ってきた金額は1年あたり約50億と言われ、単純計算で実に4倍強にもなる。

「焦ったスカパーはパフォームに対して中継権の二次受け交渉を水面下で続けてきました。Jリーグ内部にスカパーを支持する人も多く、なんとかなるのではないかと思われていましたが、パフォーム側からは相当厳しい条件を突きつけられた。年が明けて万策尽き、ついに完全撤退を決めたのです」(Jリーグ関係者)

昨年8月に日本でのサービスをスタートしたダ・ゾーンは、メジャーリーグやF1をはじめ世界中の130を超える競技、約6000試合以上の中継を月額1750円(税抜き)で楽しめる画期的なサービス。

日本での配信開始にあたり、目玉コンテンツとして白羽の矢を立てたのがJリーグだった。

Jリーグは'93年の開幕当初、ジーコやリネカーら、世界的な超一流選手たちを迎え入れ、一大ブームを巻き起こした。

民放各局は試合を連日地上波で生中継し、日本中がJリーグブームに沸いた。

だが、熱狂しすぎたブームは去るのもまた早い。民放各局に見放されたJリーグは、ほどなくして地上波放送がほとんど行われなくなり、新たなファン層の拡大に苦慮する「冬の時代」が続く。

そんななか、Jリーグに救いの手を差し伸べたのがスカパーだった。

「ウチは'02年の日韓W杯中継で手応えを感じたのをきっかけに、年間で千試合近くも行われるJリーグの全試合を中継することを決めたのです。誰もやったことがない挑戦で、当然放送のノウハウはまったくない。Jリーグ側の人間ですら、『そんなことが実現できるのか』と疑っていた。試行錯誤の末、'07年のシーズンからついにJ1・J2全試合の放送を実現しました」(スカパー関係者)

スカパーの力の入れ様は半端ではなかった。

社内に設けた専任チームがスタジアムに足繁く通い、時にはチームとイベントを共催するなど、リーグ全体を盛り上げるための様々な企画を矢継ぎ早に打ち出した。

結果、'07年の放送の開始以後、Jリーグ中継パックの契約者数は右肩上がりに伸びはじめる。

「苦しい時代から一緒にここまでやってきたという思いがあっただけに、今回Jリーグから切られたのは社内的にもショックが大きかった。でも、なにより衝撃が走ったのは、やはり約2100億円というパフォーム側の契約金額。ウチの会社のJリーグ全試合視聴プランより1500円近く安い月額料金でいったい、どうやって2100億に見合う利益をあげるのか……」(前出・スカパー関係者)

スカパーは2月以降、すべてのJリーグ試合中継セット(チャンネルを組み合わせたもの)の提供を終了するという。

同社広報は、本誌の取材に、「スカパー! でJリーグをご視聴頂いていたお客様には、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。Jリーグ以外の国内試合や海外リーグなど、これからもサッカー関連番組を充実させていく姿勢に変わりはありません」と無念さをにじませつつ回答した。

会社の、いわば「虎の子」だったJリーグ中継を失うことによる経営へのダメージがいかに大きいかは、想像に難くない。

では、スカパーから巨額のカネでJリーグ中継権をかっさらったパフォーム・グループとは、一体どのような会社なのか。

「今回話題になるまで日本では無名でしたが、デジタル技術を駆使して世界約100ヵ国でスポーツコンテンツを提供する国際企業で、欧州ではよく知られた存在。あらゆるスポーツについてのデータや記事のほか、自ら試合の映像も制作し、主に企業やメディアに対して提供している。スポーツニュースで流された会見映像が実はパフォーム制作などということも珍しくありません」(在欧スポーツジャーナリスト)

'07年設立と、パフォームは歴史こそ浅いが、その成長は目覚ましい。

'11年2月には世界最大のサッカー情報サイトである「ゴール・ドットコム」をはじめ、スポーツデータを扱う企業を次々と買収。世界でも有数のスポーツ総合企業に成長した。

昨年、『東洋経済オンライン』のインタビューにおいて「いくらなんでも2000億円は高すぎるのでは」との声に、ダ・ゾーンのサービスを統括するジェームズ・ラシュトン氏はこう答えている。

〈ベリーベリーベリー、自信がある。投資したおカネを上回るリターンを得られると確信している。日本への投資は長期的な視点で見ている。Jリーグのパートナーとしてサッカーファンを増やし、スタジアムの体験をすばらしいものにする。こうした取り組みがすぐに収入に結び付くとは思わないが、スポーツを楽しむ人が増え、サッカーを見る人も増えて、スタジアムに行く人も増えれば、ダ・ゾーンの会員も増える〉

リーグ運営の方法、サッカーの見せ方≠変えれば、Jリーグ中継は十分ペイできると、強気の構えなのだ。

「例えば、ヨーロッパのサッカー中継では、選手がゴールを決めた瞬間、顔のアップも含め、様々な角度からの映像が流れ、日本よりも遥かに臨場感のある映像が観られる。確かに、そういうノウハウを日本にも導入できれば、視聴者を増やせるかもしれない。かつてプロ野球で巨人がイ・スンヨプ選手を獲得して、韓国で一大ブームが巻き起こったときのように、アジアのスター選手を獲得して向こうの国での契約者を増やすという手もあります」(スポーツビジネスを多く手がけるコンサルタント)

しかし、そうはいっても、ダ・ゾーンの月額1750円という契約料で年間210億円を回収しようとすれば、100万人の契約が必要。利益を出すためにはさらに数十万人の契約が不可欠だ。これだけの顧客を獲得するのは容易ではないはず。

それでもなお、パフォームが強気なのはなぜか。

「背景には、各国でスポーツ賭博のネット化が進んでいることがあげられます。とりわけ政府公認の『ブックメーカー』が賭博を運営する英国では、'00年代に入り、オンライン化が相次いだ。近年はスマホで試合を見ながら賭けられるシステムが完成されている。それまでは試合前の予想で賭けるしかなかったのが、試合展開に応じて、試合中に変動する倍率を見ながら賭けられるインプレー・ベッティング(試合中の賭け)も盛んになっています」(前出・在欧ジャーナリスト)

そして、何を隠そうパフォームこそは、「ウォッチ&ベット」と呼ばれるスポーツ賭博の運営者に向けた動画配信サービスで急成長した企業なのだという。

「合法賭博用の動画配信のプラットフォームを押さえ、パフォームは安定した収入を得ている。賭博は中毒性が高く、一過性のブームに乗ったファンとは比べ物にならない手堅い顧客を抱えており、極東の赤字ぐらいではビクともしません」(前出・在欧ジャーナリスト)

それを踏まえたうえで、Jリーグ関係者はパフォームの「シナリオ」をこう予想する。

「やはり、10年という長期契約のなかで見据えているのは、日本におけるスポーツ賭博の『合法化』でしょう。日本では一昨年の野球賭博の問題もあり、賭博=悪というイメージがいまだ根強いが、10年あれば風向きも変わる。あれだけ反対意見の多かったカジノ関連法案も可決したのだから、可能性は十分。将来的に本国と同じようなビジネスモデルを築くための『先行投資』という意味合いが感じられます」

文部科学省が所管するtOtO(サッカーくじ)は、3年連続で売上高が1000億円を突破、安定したマーケットになっている。

スポーツ賭博の新たな市場として、日本はまさに「格好の的」なのだ。

こうした支払う側の思惑は別として、Jリーグ側はウハウハの「パフォーム特需」に沸く。なにせ、これまで地上波を合わせても放映権収入が100億円を超えたことのなかったJリーグに、年平均210億円という巨額が転がり込んだのだ。

「さっそく、来季からのJ1上位チームの賞金の増額が発表され、1位のチームには合計で21億5000万円が支払われることになりました。これは、昨季の4億8000万円の4倍以上。同時に、外国人選手の登録枠を増やすことも決まっている。中国や中東のチームと同じように、欧州の大物スター選手をカネで釣って連れてくることも可能になる」(スポーツ紙・サッカー担当記者)

外資マネーの流入が、Jリーグの勢力図に大きな変化をもたらすかもしれないのだ。

さらに、こうした流れは今後他のスポーツへと広がる可能性がある。例えば、野球。

「すでにアメリカでは、メジャーリーグファンがケーブルテレビや衛星放送の視聴契約を解約して、ウェブ配信サービスに乗り換える動きが顕著になっています。おかげで、代表的なスポーツ専門チャンネルであるESPNの視聴者数は減少の一途。MLB自体が年間1万2000円ほどの加入料で全試合を視聴できるインターネット動画配信サービスを運営しており、これがドル箱になっている。もし放送局が将来的に放映権料をペイできなくなれば、すべての放送がインターネット中継だけになる可能性もある」(前出・コンサルタント)

日本のプロ野球の場合、例えば巨人であれば地上波中継は日本テレビ、BSはBS日テレ、CSはG+というように、球団と結びつきの強い企業が放送権を持つ旧態依然の状況が続く。だが、いずれそうしたモデルが崩れる日が来るかもしれない。

ダ・ゾーンという「黒船」の来襲が号砲となり、日本のスポーツ界が「文明開化」を迫られる日も、そう遠くはない。




現代ビジネス 1/30(月) 11:01配信



スレッド作成者: - (Xn9NKPbiKkg)

このトピックへのコメント:
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(01/31 - 08:54) スカパーは値上げするけど観れるチャンネルをどんどん削っていってたから正直嫌いになってたわ
(01/31 - 00:20) 丸々コピペはやめようぜ
(01/30 - 23:31) どう見てもダズンなのにダゾーンと読ませるところが一番強気だと思う
(01/30 - 20:42) サッカー好きがパチンコ好きと同じ目で見られる日がくるんだな。
(01/30 - 20:13) 競馬、競輪、競艇、オート、パチンコ・・・実は日本はその種類も総額も世界有数の賭け事大国
(01/30 - 19:57) 日本でサッカーを競馬などの賭け事として捉えてる人ホント少ないと思う
(01/30 - 19:55) 要するにこれから日本も欧州みたいな賭けとしてのサッカー市場が増えると見てるんじゃないか?
(01/30 - 19:51) 日本がカジノ合法すればブックメーカもできるな
(01/30 - 19:23) 実況解説をどうにかしろ
(01/30 - 19:05) 強気な理由探す前に読むのやめた
(01/30 - 19:05) 長い
(01/30 - 18:59) ケチパー
(01/30 - 18:56) プロ野球セットのほうがサッカーが充実してたスカパー