■ 「朴大統領ヌード風刺画」事件は、芸術の話とはいえない。
あれは、政界の現実を示す政治スキャンダルだ。
問題の作品は、芸術と呼ぶのが恥ずかしくなるほど粗悪なものだ。
風刺とユーモアではなく、女性性を突きまわす敵意に満ちている。
あれを国会という公的な舞台に引っ張り出したのが、政治だった。
闘争心に燃える一議員が、政治を荒れた場にした。
質の悪い風刺も、荒れた政治も、正気の沙汰ではない。
先週、サムスンの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の拘束令状を棄却した判事に「電話テロ」が殺到した。
ソーシャル・ネットワーキング・サービスは、ありとあらゆる悪口と人身攻撃であふれかえった。
大衆の暴走が攻撃性を帯びて暴力化するのは、今に始まったことではない。
少し前、改憲の報告書を批判した最大野党「共に民主党」所属の議員に対しても「文字テロ」が行われた。
数千通の中傷メールや、後援金額より事後処理費用の方が高くつくといわれる「18ウォンの後援金」が殺到し、電話番号を変える議員が続出した。
攻撃を主導したのは、文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表の熱烈な支持者らだった。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に「紅衛兵」役を果たした「ノッパ(盧武鉉支持者)」部隊が復活したかのようだった。
驚くべきは文・前代表の対応だった。
文氏は支持者に自制を訴えるどころか、文字テロをかばった。
「政治の公人であれば、メッセージを受け取ることもあるだろうと理解しなければならない」と、被害に遭った議員を訓戒した。
易地思之、立場を変えて考えてみる。
文・前代表は、反対者に自分の携帯電話の番号を公開していても、そう言うだろうか。
数千人が電話をかけてきて悪口を浴びせても、笑っていられるだろうか。
今の時点で、文・前代表は大統領に最も近い人物だ。
しかし大統領というポストの重みから考えると、危なっかしく思う部分は一つや二つではない。
公務員の雇用を80万人分つくるという公約がそれだ。
この構想には「元祖」が存在する。
デフォルト状態に陥ったギリシャだ。
ギリシャの悲劇は、およそ30年前にポピュリズム政権が成立したことで始まった。
「官製雇用」政策が始まったのもこの時期だ。
ギリシャは数十年にわたり、国が借金までして公務員の給与の支払いに苦しんだ。
その結果、コメディーのようなことが起こった。
人口1100万人のギリシャで、国営放送局の職員の数はCNNテレビより多かった。
鉄道当局の赤字があまりに多額で、いっそ乗客をタクシーに乗せて運んだ方が安くつくというほどだった。
そもそも持続不可能な政策だった。
全く同じ狂気の沙汰を、韓国でもやろうと言う。
それも、次期大統領の可能性が最も高い候補が公約をして掲げたのだから、絶句する。
公務員を80万人雇おうとすると、どんなに少なくとも年に30兆ウォン(約2兆9000億円)以上はかかる。
カネを都合する奇跡のような方法でもあるというのか。
今、韓国は国が理性を失いつつあると感じる。
大統領になるという指導者らは、権力欲に目がくらんでいる。
政治家は扇動し、大衆は集団狂気を噴出させている。
理性が行方をくらまし、憤怒と感情、アブノーマルがのさばる国になった。
全てが滅びようとしているかのようだ。
その頂点には、昨今の事態を招いた朴槿恵(パク・クンへ)大統領がいる。
国中がこんなめちゃくちゃなのは、大統領が引き起こした事態だからだ。
一日も早く混乱を収拾できるようにする最大の責任は、大統領にある。
にもかかわらず、朴大統領は疑惑の実体について沈黙したまま、国の混乱をほう助している。
真実を明らかにするのではなくメディア戦を繰り広げ、時間稼ぎという印象を与えている。
大統領は、国政介入疑惑が「うその山」だと主張した。
しかし、明白なうそが明らかになったのは大統領側だ。
ミル財団・Kスポーツ財団の設立経緯についてうそをつき、ブレーンらとでっち上げを謀議したという証言まで登場した。
こんな大統領が首脳なのか。
韓国人が見ている大統領は、本当に「国と結婚した」と言っていた大統領その人なのか。
しかし、朴大統領は「過去」にすぎない。
より大きな問題は「未来の大統領」たちだ。
大統領の座をめぐる競争に参加した大勢の候補が、皆そろって無責任な方向へ疾走している。
軍服務期間を短縮し、ソウル大学をなくすという。
韓国国民全員に130万ウォン(約12万7000円)ずつ分配すると言う候補もいる。
みんな理性を失った。まともではない。
問題は、国全体が非正常に慣れ、あまりにも無感覚になっている点だ。
無責任な公約が守られるだろうと信じる人もいない。
むしろ、自虐的・扇情的であるほど、大衆の人気も高まる。
大衆は近視眼的な利己主義に走り、政治家は迎合する。誰も冷静に国の未来を考えない。
国は「他殺」されないという。
これは、外敵が来る前に、内部の矛盾のせいで自滅するという意味だ。
古今東西、人類史において国が「自殺」する原因は共通している。
利己主義とポピュリズムだ。
大衆が目前の利益に駆られ、支配エリートが迎合するとき、国は衰亡する。
韓国は今、そんな状態にある。
トランプ台風に中国の脅しと、国外の心配事は多い。
しかし本当に心配すべきは外ではなく、韓国そのものの問題だ。
非理性と大衆の暴走、近視眼的利己主義と魂なきエリートが、韓国を衰退の道へと引きずり込んでいる。
朝鮮日報日本語版 1/29(日) 6:10配信
[ 2017年01月30日 - 21:53 ]
2308 (01/31 - 13:35) 朝鮮人は出てけ
(01/31 - 13:13) 少女像のことも触れんかい!
(01/31 - 12:36) サッカースレで立てるな
(01/30 - 23:08) ネトウヨきもちわるっ
(01/30 - 22:04) 読んでないがスレタイに激しく同意!
(01/30 - 22:01) 大統領選の公約が値下げ競争化してんだよなw
(01/30 - 21:54) 知ってた